27日、フィリピンにご滞在中の天皇陛下は晩餐会の席上、お言葉を述べられました。その内容を皆様にご紹介いたします。
陛下はまず、54年前に初めてフィリピンをご訪問されたことを振り返りつつ、日本とフィリピンの交流の歴史、そしてスペインによる植民地支配からの独立を振り返られました。
特にフィリピンの国民的英雄であるホセ・リサールの活躍について詳細に述べられ、「武力でなく、文筆により独立への機運を盛り上げた人」と紹介されました。
陛下のスピーチによりますと、このリサール氏は「両国の友好関係の先駆け」となった人物であり、若い時代に日本に1カ月半滞在し、日本とフィリピンの交流が将来発展すると書き残した人だそうです。
続いて陛下は、先の対戦で多くのフィリピン人の命が失われた事にふれ「このことは、私ども日本人が決して忘れてはならないことであり、この度の訪問においても、私どもはこのことを深く心に置き、旅の日々を過ごすつもりでいます。」と述べられました。
この皇室の祈りの尊さを明確に表現されているのが、陛下に先立って挨拶されたアキノ大統領のお言葉です。
あわせて紹介したいと思います
「貴国の象徴として、善意を体現する存在として、天皇皇后両陛下がいかなる困難を担われてきたのか、私には想像することしかできません。私が大統領の座に就く際には、任期中に限っては自身を犠牲にしなければならないということを十分承知して、国民から負託されたこの職務を引き受けました。その私が両陛下にお会いして実感し、畏敬(いけい)の念を抱いたのは、両陛下は生まれながらにしてこうした重荷を担い、両国の歴史に影を落とした時期に他者が下した決断の重みを背負ってこられねばならなかったということです。」
今回のご訪問に限らず、陛下は訪問する国や地域の歴史をいつも非常によくお調べになっていらっしゃり、無名の人々の痛みや苦しみに心を寄せ続けていらっしゃいます。
今回のご訪問で、そのような皇室の祈りが国を越えて伝わった事を本当に嬉しく思います。
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天皇陛下フィリピン御滞在・晩餐会でのお言葉
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