【衝撃事件の核心】
「覚醒剤妊婦」は奇声をあげ、母性本能を見せた
2011.12.23 07:00 (1/4ページ)[westピックアップ]
生後間もない乳児の尿から出た覚醒剤の陽性反応をきっかけに、京都府警が母親の逮捕に踏み切った。覚せい剤取締法違反(使用、営利目的所持)などの罪に問われている京都市南区、無職、清水加奈被告(26)は「陣痛に耐えきれず、出産日にも打った」と供述。胎内に命を宿した母親として常軌を逸した行動と、覚醒剤中毒の底知れぬ恐ろしさが浮かび上がった。そんな清水被告が逮捕前、わが子への「母性本能」をわずかにみせた瞬間があった…。
覚醒剤を体から抜くため逃走?
「仮死状態で生まれた男児から覚醒剤の陽性反応が出ました」
京都市東山区内の病院から東山署に通報があったのは9月下旬だった。
東山署は母親の清水被告の立件を視野に捜査に乗り出したが、通報前日、清水被告は病院に男児を残したまま逃走していた。
男児の検査結果を不審に思った病院側の尿検査の要求に対し、別人の尿を提供してごまかし、出産後わずか3日の身で病院から姿を消したのだ。
「シャブ(覚醒剤)を抜くために逃走したに違いない」
捜査員たちは天をあおいだ。
通常、薬物使用事件の捜査では、容疑者の尿検査の結果が立件できるかどうかの重要なカギとなる。仮にこの時点で清水被告が覚醒剤を使用していたとしても、逃走期間中に覚醒剤を絶つことで薬物反応が検出されなくなれば、立件は極めて困難になる。
捜査は暗礁に乗り上げたかにみえたが、捜査員は法医学の専門家のもとへ走った。
「乳児から覚醒剤の反応が出たということは、母親が妊娠中に覚醒剤を打ち、胎盤などを通じて胎児へ吸収されたと考えることができる」
専門家の見解を参考に、東山署は担当検事と協議を重ね、仮に薬物反応が出なくても立件できると判断。10月18日、覚せい剤取締法違反(使用)容疑で逮捕状を取り、清水被告の行方を追った。
病院内に響く奇声
10月20日午後、男児が入院する病院のロビー。5~6人の捜査員が清水被告を待ち構えていた。
「授乳指導のため来院してください」という病院側の連絡に対し、この日、「病院へ行く」と清水被告から返答があったのだ。
逃走中の容疑者が果たして本当に来るのか。しかも妊娠中に覚醒剤を打つような母親が授乳指導のために危険を冒してまで…。
じりじりとした緊張感が現場に漂う。
午後5時ごろだった。セーターにジーンズ姿の清水被告がロビーに現れた。素早く動いた捜査員が周囲を取り囲み、連行しようとした瞬間だった。
清水被告は突然、怒鳴り声を上げた。院内に響きわたる言葉にならない叫び。見舞客や入院患者らが騒然とする中、清水被告は奇声を上げながら捜査員の体を押すなどして激しく抵抗した。
おなかを痛めて産んだわが子の目前まで来ながら会えないことへの絶望か、それとも病院や警察が授乳指導をダシにだましたという怒りか。冷静さを失った清水被告の中でさまざまな感情や思い込みが渦巻き、一気に爆発したのだろうか。
最後は取り押さえられ、観念した様子で東山署へ連行された。
逮捕翌日の尿検査では陽性反応が検出された。持参していた手提げかばんの中からは、覚醒剤約2・5グラム、大麻約0・2グラム、注射器数本も見つかった。状況は明らかに「クロ」を指していた。
しかし清水被告は頑強に否認を繰り返し、取調官の手にかみつこうとするなど「正気ではない」(捜査関係者)様子だったという。
東山署は11月、所持していた薬物の量が1人で摂取するには多過ぎることから密売目的との見方を強め、覚醒剤と大麻の営利目的所持の両容疑で再逮捕。清水被告はこの前後から、使用の事実を認め始めた。
「陣痛に耐えきれず、出産日にも打った」
出産日の夕方、自宅で覚醒剤を注射してから病院に駆け込み、午後10時ごろに出産したという。だが、営利目的所持については否認を貫いたまま、11~12月に3つの罪で起訴された。
家族ぐるみで骨の髄までシャブ漬け
清水被告は逮捕前、市営住宅で養父と2人暮らしだった。
実の母親と内縁の夫は覚せい剤取締法違反罪で有罪となり、服役中。7歳になる長男は親類が育てているという。
捜査関係者によると、自宅周辺は覚醒剤の売人が多い地域だという。清水被告は家庭環境などの影響もあり、かなり前から日常的に薬物を使用していた可能性があるらしい。
捜査関係者は「妊娠期にも打つとは…。家族ぐるみで骨の髄までシャブに漬かっている」とまゆをひそめる。
現在、清水被告と養父が暮らした部屋は空室になっている。近隣住民の一人は「近所づきあいもないし、どんな人かも分からない。事件のことも知らない」と首をかしげた。
深い心の闇
12月20日、京都地裁で開かれた初公判。清水被告は紺色のジャージー姿で法廷に姿を現した。
やや太り気味でアンバランスな体格。腰にまで届くストレートの髪は金色に染めているが、頭頂部はまだらに黒い。うつろな目でぼんやりと前を見据えた表情からは生気がまるでうかがえない。
検察官が読み上げた3つの起訴内容について、裁判長が認否を確認すると、清水被告は、わずかに目を伏せながら「はい。間違いありません」と小さな声で答えた。営利目的所持を否認していた捜査段階の態度を一変させた。
検察側は冒頭陳述で「メモや携帯メールに以前から密売を行っていたことを示す記載もあった」などと指摘、売人としての“裏の顔”の一端を明らかにした。
しかし、一体いつから覚醒剤を打ち、売人にまで身を落としたのか。子供を授かりながら、なぜ薬物をやめることができなかったのか。そして何よりも、妊娠中に覚醒剤を打つことが胎児に与える影響についてどう考えていたのか-。根深い心の闇は晴れなかった。
知人がいたのだろうか。閉廷が告げられると、清水被告はわずかに傍聴席の方に目をやり、うつむきながら法廷を後にした。
来年1月25日の次回公判で結審を迎える。
驚きのニュース。
薬物に手を出すなど絶対にしてはならないこと。
しかも、妊婦であるのに言語道断。
守ってあげるべき周りの人もいなかったのか。
悲しいニュースだ。
乳児はどうなってしまうのか、、、、。
子供を産めない私にとって、こういう事件は許しがたく胸が痛くなる。
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「覚醒剤妊婦」は奇声をあげ、母性本能を見せた
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