5月26日~28日にスウェ-デンのストックホルムで行われた日朝外務省協議により、北朝鮮政府は拉致問題の再調査に同意した。日朝両国政府の合意に基づき、北朝鮮側は、特別調査委員会を立ち上げ、拉致被害者及び特定失踪者の調査を開始。これに対して日本側は北朝鮮に対する独自の経済制裁の一部を解除した。当初、北朝鮮は拉致問題調査の初回の回答を「夏の終わりから秋の初め」としていたが、9月に入ってこの方針を撤回し、日本側に「調査はまだ初期段階。この時点で説明は出来ない」と回答して来た。さらに、北朝鮮政府は、9月29日に中国の瀋陽で行われた政府間協議で、「拉致問題の調査の詳細な現状は、平壌で特別委員会のメンバーに直接、確認して欲しい」と主張。これを受けて、安倍首相は10月27日から30日まで、平壌に事情聴取のための政府担当者を派遣した。
私たちは日朝合意に基づいて、拉致問題の徹底した再調査が行われ、北朝鮮に残された全ての日本人の帰国が実現することを強く願っている。今後とも、拉致問題の全面解決に向けた政府の粘り強い交渉を後押ししたい。
他方、安倍総理が明言しているように、拉致、核、ミサイルという諸懸案の包括的解決のため、北朝鮮に対する「対話と圧力」の原則を貫くことは、極めて重要だと考えている。北朝鮮が、国連安保理の度重なる避難決議や議長声明にもかかわらず、3度の地下核実験を強行し、ミサイルの実験や発射を繰り返しているからだ。たとえば、5月末に日朝が合意し、7月初めに局長協議が行われた前後から、ミサイルや多連装ロケット砲を連続で発射している。
すなわち、北朝鮮は、日朝交渉とミサイル発射を同時に行っている。
これまでの日朝協議の経緯や米朝協議の顛末を考えると、北朝鮮が極めて難しい交渉相手であることは疑いの余地がない。冷静に、戦略的に、対話と圧力を行使しつつ、粘り強く交渉を重ねていく以外にはない。
安倍晋三幹事長(当時)の強力なサポートを受け、議員立法として成立した現在の2つの北朝鮮経済制裁法の目的は、議会のイニシャティブで「北朝鮮に圧力をかけるメカニズム」を構築することだった。すなわち、この装置を政府に外交のツールとして活用してもらうという狙いがあった。米国の例を挙げるまでもなく、議会は外交において政府と異なる役割を果たすことが出来る。対北朝鮮政策においては、2つのアプローチを駆使した戦略的外交が不可欠だ。
上記の認識を踏まえ、私たち自民党有志12名は、過去の日朝交渉の経緯を改めて検証し、かつ今後の日朝合意の現状を慎重に見極めながら、北朝鮮に対する「対話と圧力」の方針を維持強化するための「新たな圧力のメカニズム」を研究、検証することを決めた。このため、「対話と圧力による北朝鮮外交を推進する会」を設立し、与党や政府への政策提言、議員外交等の活動を精力的に展開することとしたい。
共同代表
新藤義孝(前総務大臣)
小野寺五典(前防衛大臣)
山本一太(前内閣府特命担当大臣)
本日、
「対話と圧力による北朝鮮外交を進める会」
が設立されました。
メンバーの一員として活動して参ります!
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対話と圧力による北朝鮮外交を進める会
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